キャンパスライフ

新任の先生へのインタビュー:本下真次先生

2022/01/20

2021年11月1日に経営学科に着任された、本下真次先生へインタビューを行い、いろいろとお話をおうかがいしました。

本下真次先生(国際経営研究室)

デザイン会社でコピーライター、営業マネジャー等を経験。その後、株式会社コトバノミカタを共同創業し、取締役に就任。その間に関西学院大学経営戦略研究科に入学、2018年に博士(先端マネジメント)の学位を取得。2021年11月より岡山理科大学経営学部准教授。

  •  ご経歴について

―――以前はデザイン会社でコピーライターや営業マネジャー等をされていたそうですが、具体的にはどのようなことをされていたのでしょうか。

本下先生:メディアのクリエイティブを担うのが一般的なコピーライターという職種です。具体的には、企業の販促ツールに関する文章を作ったり、お客さんの思いや意図を文章に起こしていきます。その後、企画制作マネジャー、営業マネジャーなどを経験しています。学問領域に重ねるとマーケティングの中でもマーケティング・コミュニケーションの部分が中心ですね。

―――その後、「コトバノミカタ」という会社を立ち上げられていますね。

本下先生:元々、グラフィックデザイナーとして勤めていた妻、デザインの力で子どもの学びを楽しくしたい、との思いから、個人事業として別名で始めた事業です。学習にかかわるさまざまなモノやサービスを作り、エンドユーザーに売るということと、そのノウハウ等を活かしながら、企業向けにサービスや研修を提供しています。丁度、私が会社員でありつつ経営学の分野で学んだり教えたりをし始めていた頃だったので、実践機会をつくれたらと会社を立ち上げたという経緯です。

  • 研究について

―――本下先生の専門領域を教えてください。

本下先生:営業、国際経営を専門領域としています。研究キーワードとして、その他にマーケティング、事業変革、経験学習などを挙げています。

―――専門領域を深めたいと思ったきっかけは何でしょうか。

本下先生:会社員として在職中、60名を抱える部署全体をまとめるという立場となった時に、マネジメントに悩んだんです。実務上で効果的なマネジメントが出来ないか、ということで社会人として関西学院大学の経営戦略研究科(ビジネススクール)で学びをスタートしました。その後、営業で非常に苦戦するという実務的な新たな問題に直面したことをきっかけに、営業研究を念頭に博士課程を目指すことにしました。今まで経験してきたことを学術的に研究する中で、営業研究はもちろん、国際的な概念比較・活動比較・実態把握などを、研究領域として意識し始めました。ご縁があり、セールスに関する国際学会で発表をさせていただいた際、今までやってきた研究を国際的な文脈に載せたときに、学術的に新たな視座を与えることができるのではないか、と手ごたえに近い反応を感じたんです。ここで、国際化ですとか、国際経営の中で営業を深めていく目線が生まれた、というのが、現在の研究領域へと繋がる大まかな経緯です。


―――岡山理科大学はどうですか。

本下先生:キャンパスであり周りの空気であり…岡山という都市は自然豊かで利便性も高く、環境が良いと思っています。山の上って、学ぶ環境としてはすごくいいのではないでしょうか。
 学生に対しては、まじめで大人しい印象をもちました。でも、授業終わりに個別に感想を問うと、雄弁に聞かせてくれたりするんです。きっかけひとつで言葉を引き出せば出てくるものがあるなあ、と感じていて、まだまだ理大での自身の授業設計や運営には課題が多いな、と思っています。

―――岡山理科大学でやりたいことや楽しみにしていることはありますか。

本下先生:研究面では“営業”の国際概念化がストレートにやりたいことのひとつです。
 また、お話した経緯のとおりで、私はアカデミックな先生とも、客員教授などで実務経験のもとに教えられる先生とも、毛色が違うと感じています。ある意味、希少性を活かしてアカデミック(学問)とプラクティス(実務)の橋渡しとなるような役割を担えたら、というのが私の大きなビジョンです。
 教育面では、ゼミをもつことを楽しみにしています、学生の思いを一緒に体感しながら、ともに考えていきたいと思っています。変化の激しい時代なので、今まで正しいとされていたことを疑い、自らやってみて仮説を検証していく、OS(オペレーションシステム)が一緒に創れたらいいな、と考えています。

  • ご自身について

―――休みの日は何をしていらっしゃいますか。

本下先生:自転車に乗って行ける範囲でいろいろと出かけています。単純に知らない街を自転車に乗って走っているというだけでも面白いんです。先日は、自転車で桃太郎温泉に行きました。サイクリングがてら、ゴミ袋を持って趣味のゴミ拾いをしたり。目的をもたず図書館に行くことも好きです。なにかしら、発見やひらめきがあったりするんです。あとは、美術館や、落語に…。
 パソコンで何でも完結する世の中・働き方になってきているので、身体を使うということを意識して過ごしています。

 ―――学生生活で思い出に残っていることありますか。

本下先生:大学では、バイクサークルに所属し、大学対抗のオフロード耐久レースに出場したこともあります。チームで交代しながら3時間くらい走り続けるんです。北海道にツーリングに行き、1週間ほど旅をしたりもしました。野宿もしました(笑)。
 レストランのアルバイトにも熱中していました。素材を仕入れ、料理をして提供し、お金をいただいて、評価してもらい、またお客様に来ていただく、というお金が回っていく経営のエコシステムをここで学んだ気がします。
 また、高校生のときに、人生に対する考え方を変えてしまうような小説に出会ったんです。言葉ひとつで人にこんなにも影響を与えられるのか、と衝撃を受け、私も他人に何か気付きや変化を与えるものを書きたいと思い、大学では文学部へ進学しました。学部時代に小説を書いていたこともあったのですが、ある日、自分が構想していた題材が偶然にも村上龍さんの新刊に出てきたんです。そのとき、プロであり一流作家の作品の圧倒的なすごさを目の当たりにし、大学を卒業してすぐ作家になる!という道は心に収めました。

―――すごい経験ですね…プロの実力を目の当たりにしてあきらめられたのですね。

本下先生:あきらめたわけではないです、いったん心に収めただけであって、まだあきらめてないです(笑)。 

―――おぉ~すごいです。現在、大学の教員になられて、伝えるツールは小説から論文や授業へと変わりましたが、他人に何か気付きを与えられる発信をするという、目標とされていた道へ近づかれていますよね。先生の小説も楽しみに待っています。 

―――続いて、先生の著書をご紹介ください。

本下先生:ビジネススクールの同窓で行っていた営業研究会で、議論のアウトプットを出そうよ、ということで、2010年に「顧客価値創造型営業への進化~新たな営業戦略の論理と実践~」という本を共著で書かせていただきました。本の編著者であり、当時、この研究会の顧問であった中西正雄先生は、私の「昨日営業でこんなことがありまして」という実務上の経験談などに非常に興味をおもちになられ、熱心に耳を傾けてくださいました。国際的にも先端の研究をなされてきた先生が、今まで研究としては関わってこられなかった、未知の領域である営業の実態に、目を輝かせていらっしゃる姿に感激し、研究者と実務者が対話することの素晴らしさを感じました。出版の際に、先生がこの本をテキストとしてビジネススクールで授業をしませんかというお話をくださり、若輩ながら講師の一人として登壇することになりましたので、この本が私の教える仕事のきっかけでもあります。 
 あと、現在、修士・博士の指導教員であった佐藤善信先生と日本型マーケティングと営業の本をそれぞれ編著で書かせていただいております。



―――経営学科の学生に伝えたいことはありますか。

本下先生:学生の就職先として営業職が不人気であると聞きますが、営業とは自らの思考や行動でもって、ビジネスの局面や社会を変えていける存在であり、素晴らしい仕事であることを伝えたいです。今、DX(デジタルトランスフォーメーション)といわれる大変革期を迎えている中で、特に影響が強い職種である営業、セールスですが、そこを学ぶことによって、卒業して働いていくうえで配属部署に限らず重要な考え方・スキルを身につけられるといいな、と思っています。
 あとは、説教臭く聞こえると嫌なのですが…。意識的にスマホの電源を切る時間をつくってみてはどうでしょうか。例えば、美術館や映画館といった一定時間スマホを切る、あるいは使わない時間があると良い効果があるのではないかな、と思っています。 

―――最後に、経営学科への進学を考えている高校生へメッセージをお願いします。

理大の経営学部経営学科の先生方には、多様かつ深みのあるタレントが揃っています。まずはオープンキャンパスやWebでいろいろと情報収集をしてみてください。もっと情報が知りたい!と思ったら、それが皆さんの学びのスイッチだと思います。

本下先生、お忙しい中ありがとうございました!

 

(文責・写真:木村真紀)

 

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