日本国内では、手持ちの円を使って買い物をしたり食事をしたりできますが、海外ではできませんよね。それは、流通しているお札や硬貨の種類が違うからですが、正確には、国それぞれで貨幣の価値が違うからです。ですので、海外旅行に行くときには、円をその価値と同じ現地通貨に交換しなければなりません(帰国時に余った現地通貨は、再び円に交換します)。
現地の通貨を1単位(アメリカなら1ドル、韓国なら1ウォン)手に入れるために日本の円が何円必要であるか、を表すのが「外国為替レート(外国為替相場)」です。もし、ドルの為替レートが1ドル=100円であるならば、アメリカの通貨1ドルを手に入れるためには10円玉が10枚必要ですよ、ということを意味しています。つまり、ドルの為替レートは、ドルの価格を表しているといえます。
ここで、1ドル=100円だったレートが1ドル=120円になったとしましょう。円の値が大きくなりました。すると、1ドルを手に入れるためには10円玉が12枚必要であり、これまでと比べると2枚余分に10円玉を用意しなければなりません。つまり、1ドル=120円のもとでは10円玉を10枚用意しても1ドルは手に入らないのです。円の価値が下がった(円安)ということですね。あるいは、ドルが値上がりした(ドル高)と考えてもよいですよね。ですので、円の値が大きくなることを「円安・ドル高」と表現するのです。
同じ原材料を使って生産されたビッグマックは、沖縄で販売されようが北海道で販売されようが価格は同じです。全世界でもほぼ同じ品質ですから、岡山で販売されるビッグマックとアメリカのカリフォルニア州で販売されるビッグマックも同じ価格のはずですね(正確には,原材料費や人件費が異なるので、完全に同じとはいえないのですが、わかりやすいということで、同じとしておきます)。2016年7月時点では、日本のビッグマックは370円、アメリカのビッグマックは5.04ドルで販売されていました。すると、5.04ドル=370円、すなわち1ドル=73.41円となります。これは1つの為替レートです。このビッグマックの価格を基にした外国為替レートを「ビッグマック指標」とよびます。イギリスの経済誌The Economistが1986年から毎年発表しています。このビッグマック指標と実際の為替レートを比較することで、各国の貨幣価値や物価水準の評価を知ることができます。
ちなみに、2016年7月の為替レートは102.05円(月間の終値)でした。ビッグマック指標は73.41円ですから、貨幣どうしの価値より(ビッグマックという同一商品を通した)物価水準でみた為替レートの方が「円高」であることがわかりますね。