miniレクチャー

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データサイエンス

原因はどこに? ~層に分けるだけで見えてくる~

単純に集計すると・・・

新製品の満足度について、購入者100人にアンケート調査しました。その結果、次のようになりました。

満 足少し満足少し不満足不満足
回答数39211228100

この表から、
 ・「満足」が一番多く,「少し満足」も合わせた肯定的な人も60人いるので、まあ、いいんじゃない。
 ・ とはいえ、「不満足」も3割ほどいるので、これを減らすようにしよう。
といった解釈をすることができそうです。なるほど、消費者の実態がわかった・・・ような気になります。
しかし、この集計だけで、製品の満足度をより上げる方策を考えることができるでしょうか。

層で分けてみる

そこで、少し集計を工夫してみましょう。
このアンケートでは、性別や年齢も同時に聞いていました。なので、性別で、上記の結果を分けて集計してみましょう。

満 足少し満足少し不満足不満足
39144158
0782742
39211228100

なんと、
 ・ 男性の満足度が高い。
 ・ 女性の満足度が低い。
ことがわかります。つまり、新製品の受けは女性に悪いことが見えてきました。
これより、男性はどこがよいと思っているのか、女性にとって、何がよくないのかを探っていけば、解決策が見つかってきます。

このように、満足度を男と女という性別の層に分けて集計することを「層別分析」といったり、満足度と性別の2つの問いを関連させて集計するので「クロス集計」といったりします。また、上のような表を「クロス表」あるいは「分割表」といいます。
クロス集計をすることで、全体の集計からではわからなかった原因が見えてきます。しかも、それは、実に簡単な「層で分ける」という操作だけでよいのです。同じデータを「年齢」でクロス集計してみると、年齢による違いが見えてくるかもしれません。
グラフを描いたり、他の統計手法を使う場合も、「層で分ける」という簡単な操作を施すだけで、原因を探ることができるんですね。

(補足)なお、実際の原因究明には、より深堀りをしていく必要があります。本当に性差が満足度の違いを引き起こしているのであれば、女性受けするような方策をとるのがよいでしょう。しかし、ひょっとすると、性差が原因ではなく、使用時間の差が満足度に効いているのかもしれません。あまり使わない人は機能の良さに気づかないのではないか、ということです。もし、そういう疑問が出たなら、 使用時間を調べてみます。すると、男女とも使用時間の短い人が不満足に思っているということがわかったとします。そうであれば、性差はみかけのもの、つまり、男性はこの商品をよく使い、女性はそれほど使わないので、結果として、使用頻度の少ない女性に不満足が多くなったということがわかったりします。このような場合、男女とも使用頻度をあげるような工夫をするのがよいということになりますね。

 

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