インバウンドPBL

●産官学連携 理大✕読売PBL 概要

岡山理科大学 ✕ 読売グループ(読宣岡山・読売旅行,読売新聞)
協力:タイガーエア台湾,岡山県各市町村
PBL・・Project-Based Learning(課題解決型学習)

台湾インバウンドPBL概要

今回は,岡山理科大学社会情報学科の山口ゼミ18名,鷲見ゼミ6名,大藪ゼミ1名で,平成29年度の「産官学連携によるPBL(課題解決型学習)」の,「台湾インバウンドPBLプロジェクト(以下,台湾インバウンドPBL)」を進めていく。
台湾インバウンドPBLは,読売グループ(読宣岡山,読売旅行,読売新聞)との連携で岡山空港への直行便を就航するタイガーエア台湾と,岡山県各市町村の協力を得て,社会情報学科3年生4年生を中心とした25名で実施。本プログラムは,
・岡山県を外国人に向けて効果的にPR する方法を提案
・岡山県の魅力が外国人に伝わる旅行商品の開発  「岡山県への訪日外国人旅行客の拡大」
・岡山県の魅力が伝わる旅行商品の開発に向け,調査・研究・モデルルートの開発
これらを最終目的とする。目標成果物は以下の通り(卒論形式)。

1.岡山県下の観光資源再発見調査報告書,及び各チームの旅行プランの製作。(精査後,読売旅行から発売)
2.台湾並びに台湾人の実態調査報告書
3.台湾人の訪日観光に関するアンケート調査報告書
4.新たな岡山県のPR・プロモーション方法提案書
5.SNS活用の提案
6.台湾人への岡山県のPR動画作成

先ずは,岡山県下を6エリアに分けて,各グループが現地の観光資源を訪問調査し,外国人観光客向けの旅行商品の開発,外国人向けプロモーション等を検討した。岡山観光に関する意識調査については,台湾現地で生の情報を得るため,平成29年9月11日から15日の5日間の日程で台湾の台北市内で調査を行った。調査については,岡山理科大学より学生等23名で訪台し,企業へのインタビュー形式のヒアリングと,街頭での対面式アンケート調査を分担して行った。 

 

 

 

2017年度PBLキックオフ 2017.6.16

課題を下さった企業様もお越しになり,今年のPBLインバウンドプロジェクト研究がスタート。岡山県を外国人に向けて,効果的にPRする方法を考え,旅行商品の開発,モデルルートに取り組む。今回は6エリアに分かれ,県内各地域についての現在までのリサーチ報告も行った。

 

中間発表会2017.9.6

各チーム毎に観光資源の調査を徹底的に行い,プラン作成を繰り返した。中間発表会にて読宣岡山,読売旅行,タイガーエアー台湾,経営学部やほかの学部の教授や講師にもご参加いただき,内容を聞いていただいた。

中間発表の結果は,
1位 倉敷矢掛総社笠岡井原チーム
2位 赤磐備前和気瀬戸内チーム
3位 県北西部チーム
ターゲットを絞ること,季節感についての質問,実際商品化するための金額設定,大学生が考えるはじけたアイデアを期待される等,今後の課題が見えてきた。
早めの中間発表で,2月の照準に合わせるために何をしたらいいか,みんな各々考える良い機会になった。また,各チーム毎の進捗状況の差もあり,良い刺激を与え合った。
 

台湾研修 9月11日~15日①【タイガーエアー台湾・J&T CONTENTS(株)訪問】

今回のPBLメンバーで現地調査として台湾へ。待望の台湾人1,000人アンケートを目標に。
11日は夜着でしたので,活動は12日から。
午前中はタイガーエアー台湾本社にて社長をはじめ役員の皆様との対談。
台湾の皆様の岡山県観光への魅力や可能性についてお伺い致した。

タイガーエア台湾は,2013年に設立した格安航空会社で,台湾桃園空港をハブ空港として日本,タイ,韓国,マカオに運行便を就航している。台湾松山空港のタイガーエア台湾オフィスでおこなった今回のインタビューでは,最高商務責任者のJoyce huang氏と,事業開発部長のIngrid Lin氏より,タイガーエア台湾が実施するマーケティングと,現時点での日本路線やその他路線の概況について聞き取りを実施した。機内食についてのニーズについて,逆にご質問を頂いたりと有意義なディスカッションができた。

午後からは致理科技大学の皆さんとも合流し2チームに分かれて活動をした。
台風18号の影響で,天気が危ぶまれたが,移動も風や大雨に見舞われることなく,スムーズだった。
1チームはアンケートを台北駅にて行い,もう1チームは日本と台湾の架け橋として,様々な旅行プランを提供されているJ&T CONTENTS(株)オフィスを訪れた。J&T CONTENTS(株)様は,台湾を本社とする日本・台湾の観光業に関するコンサルティング事業を行っており,西日本を中心に様々な企業や官公庁をエージェントに抱えている。今回のインタビューでは,取締役制作ディレクターShou Shii氏と,岡山県PR台湾デスクのLin Kakin氏に対応いただいた。そこでは,台湾の顧客行動パターンや訪日市場のマーケティングについてなど,プロフェッショナルな情報を学生たちに惜しみなく教えていただけた。また,今考えているプランについて学生から質問をする場面もあり,学生のプラン構築に良いヒントもいただいた。
両社より台湾観光事業者も岡山県観光の今後には伸びしろがあり将来性が確認できた。
また,岡山の中国語案内の不足や,台湾人が夜型の行動パターンを取るため夜型観光の整備の必要性など,顧客特性等からの岡山観光に必要な要素についての知見が得られた。
 
<タイガーエアー台湾本社>   <JT CONTENTS(株)>

台湾研修 91115日②【協定校 台湾致理科技大学訪問】

 
13日は朝 岡山理科大学と協定校で大変仲良くさせていただいている,致理科技大学へ訪問。
大変なおもてなしをいただき,商貿外語学部の応用日語系の学生さん250名ほどのアンケートも快く取らせていただいた。
また,お昼は一緒にお食事をいただきながら,学生たちの交流時間を楽しんだ。
2日間で800前後(集計中)の興味深いアンケートが取れた。
2日目のアンケートは,17名の岡山理科大学の学生と17名の致理科技大学の学生とが,3つに分かれて各所で街頭アンケートを取り,暗くなるまで,足が棒のようになりながら,皆さん頑張った。終わってから「じわじわと達成感を感じる。本当に嬉しい」と感動の声をもらしている学生もいた。実際台湾の皆様にお会いしたり,アンケートをとったりしながら感じたことは,皆さんとても親日である事。
今回,出迎えてくださった致理科技大学の学生も連日,私たちのためにお手伝いに来てくださったり,差し入れをくださったりと,とても手厚くしていただいた。紙媒体だけでは得られない生の体験が今後の学生のプランに影響するばかりか,人生にも大きな影響を与える事だろう。
    
<科技大学の皆さんと昼食&交流時間> <街頭アンケート 台北駅> 
 
 <アンケートを各クラスで引き受けてくださいました>

アンケート1,323部収集

学生たちが台湾で頑張って書いて頂いたアンケートと,致理科技大学の学生さんたちが答えてくださったアンケートを集計すると,なんと,目標の1,000を超える,1323部のアンケート結果が集まっていた。
データを分析していくと,多くの発見がある。岡山の認知度が意外にも高いことや,食べたい食べ物や,興味を持っているレジャーなどアンケートから情報を得られた。
データを集計し,その後分析し,課題解決へ向け考察,商品開発へと進めていった。

迫力ある,1323部のアンケート。

【最終発表会 201829日】

6ヶ月に渡り学生たちが取り組んできた,台湾インバウントPBLがついに最終日を迎えた。
読宣東京,読宣岡山,読売旅行,タイガーエアー台湾東京,大阪,の皆様と本学からも3名の教授等の計9名が審査員となり,6グループが最終プレゼンテーションに臨んだ。
岡山県内をあちこち観光をし,インタビューをし,データを拾い集め突き詰めていくと,台湾の方に岡山をいかに楽しんでもらえるか?ということをテーマに色々なものが見えてきた。
そこで,学生ならではのアイデアも取り入れ,商品として各チーム2プランずつ,岡山の旅行プランを発表した。

*****
●赤磐備前和気瀬戸内チーム
・岡山の幸じゃけぇ!ツアー企画
・わけのふるさとツアー企画
●県北西部チーム
・春コース 日本の伝統~桜を求めて~
・秋コース 食欲の秋~A級グルメの旅~
●岡山南部チーム
 ・花より”きび団子”空と海から岡山満喫ツアー
 ・大人気スポット直島も入れちゃう玉野フォトジェニックツアー
●岡山市北区チーム
 ・足守の町並みと滝行体験ツアー
 ・城コンツアー詳細情報
●倉敷矢掛総社笠岡井原チーム
・女子大生が楽しめる倉敷ンスタバ映えツアー企画
・たった1日で300年の歴史を感じられる町ツアー企画
●津山・鏡野・美作チーム
 ・恩原高原WinterSportsツアー
 ・二つ目観光ツアー
*****

それぞれの案に,学生らしい斬新なアイデアと,学生時代に学んだデータを集計し読み取る力を利用した結果が組み込まれていた。
審査員の方々に審査していただいた結果,

●倉敷矢掛総社笠岡井原チーム 最優秀賞を獲得。
こちらのチームは当初からいち早く時代の流れをくみ,「インスタ映え」を取り入れ,外国人観光客の旅行手配から見る細かいデータ解析に取り組み,また,何度も現場に足を運び,アンケートを取るなど,努力の成果が多くみられたことが賞賛の理由であろう。

2位は
●岡山南部チーム
こちらのチームはあえて高価なプランに臨んでみた。
せっかくの旅行になかなかできない体験をお勧めして,岡山県民もあえて踏み込まないプランを見える化されることにより,意外と手に届く感じが印象的だった。「行ってみたいと思う」という感想もご来場者から頂いた。

最優秀賞チーム ●倉敷矢掛総社笠岡井原チーム
・女子大生が楽しめる倉敷ンスタバ映えツアー企画
・たった1日で300年の歴史を感じられる町ツアー企画


台湾PBLを終えて

今回の仕掛け人である経営学部学部長の山口隆久教授は,期間が長いし,台湾まで行くし,課題が重いし,正直疲れました(笑)。
でも,日に日に学生の成長が見えていく形で進み,台湾語も英語も話せないのに,台湾で堂々とアンケートを取っている姿は,逆に頼もしく感じました。
今回のPBLがきちんと成果物ができたのは,読売グループの皆様を始め,日本,台湾の多くの方々のご協力があったからこそだと思います。特に,赤磐市や鏡野町,備前市,瀬戸内市等の観光担当の方々の熱意には頭が下がる思いで,何とかインバウンドを増やして街の活性化を図りたいとの一心で取り組まれている姿には感動しかありません。このような学生が地域の方々と,おらが街,を良くしていく試みは,地域に根差す大学としては,素晴らしいことであり,是非とも今後も取り組んでいきたいと考えております。
最後に,このようなPBLの機会を提供していただきました,読売グループ様には深く感謝申し上げます,本当にありがとうございました,と台湾PBLを総括する。
 

講評

株式会社 読宣 丸山 豊 東京支社主事 さんより,
「私は仕事で大手アパレル企業のマーケティングを担当していますが,そのレベル感から見ても,最終発表は驚くほどの進歩で,実用化できるレベルに十分あります。私も一緒に台湾に出向き,皆さんの努力で勝ち取った1,000人アンケートの重みを知っております。やはり1,000人アンケートは迫力がありますね。ここから得た知見は計り知れないものがあります。是非,このPBLの成果を持って,堂々と社会に旅立っていただければと思います。」との言葉を頂き,

最後に,株式会社 読宣岡山 福嶋 正義 代表取締役社長より,
「若い人の可能性はすごいと改めて感じた。社会に出るといろんな課題があるが,どう解決していくかが大切」との講評をいただいた。」

大変温かいご講評,ありがとうございました。

社会情報学科では,学生の「社会人基礎力」向上を目的として,2017年6月~2018年2月,読売グループ(読宣岡山,読売旅行,読売新聞)とのPBL(Project-Based Learning;課題解決型授業)に取り組んだ。
この取り組みの大きな目的は,企業から実社会に即した課題提供を受け,学生自らがチームで調査,検証,企画立案までを主体的に行うことで,「企画力」,「行動力」,「コミュニケーション力」の向上を図ることである。

なお,昨年4月に社会情報学科から改組で開設した経営学部経営学科では,このPBLを「イノベーション・ラボ」と称し,経営学科を特徴づける実践型演習科目として3年次生の必修科目として実施し,そのモデル授業となるものである。

読売新聞(2018218日,岡山地域面28頁)に掲載された最終発表会の様子


このページのトップへ