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マーケティング

新規オープン、わざわざ平日や閑散期を選ぶのはなぜ?
~お客さんは評価を秒単位でする~

大切にしなくてはならないのは、お客さん一人ひとりの第一印象

アミューズメントパークやショッピングセンターは、新規オープンの日をどのように決めるのでしょうか。人出が多く見込める休日、できれば夏休みやゴールデンウイークなどの繁忙期が望ましいと思いますよね。たしかに、オープン時、多くのお客さんで賑わえば、話題が話題をよんで、認知も一気に高まることが期待できそうです。
ところが、実際は、平日や閑散期が新規オープンの日に選ばれる場合が少なくありません。
おなじみの東京ディズニーランドが開業した1983415日は、春休みが終わって間もない金曜日でした。東京ディズニーシーも、開業した200194日は、夏休みが終わって間もない火曜日でした。イオンモール岡山のグランドオープンは2014125日で、クリスマス商戦期はまだ先の金曜日でした。

平日や閑散期をわざわざ選ぶ新規オープンが少なくないのは、なぜでしょうか。
そこには、お客さんが比較的少ない間に、スタッフにじっくり経験を積ませる余裕を与えることにより、満を持して休日や繁忙期を迎えようという計算が働いています。オープンしたばかりの時期は、スタッフが必ずしも円滑な対応ができるとは限りません。初めて訪れたお客さんが、そのようなスタッフの不慣れな対応を大目に見てくれたり、スタッフがこなれた頃を見計らってもう一度来場してくれたりするでしょうか。話題が話題をよぶどころか、不評が不評をよんで、よくないイメージばかりが広がることになりかねません。新規オープンで最も大切にしなくてはならないのは、お客さん一人ひとりの第一印象なのです。イオンモール岡山の場合、グランドオープンに先立つ前月の29日から6日間「ソフトオープン」(グランドオープンの前に一部の売り場を開放してデモ営業を行うこと)を開催する念の入れようでした。

取り逃してはならない「真実の瞬間」

「真実の瞬間」(Moment of Truth)を最初に提唱したのは、1980年代初め、経営危機に陥っていた航空会社のCEO39歳で抜擢され、わずか1年で再建した若き経営者でした。彼は、航空会社の窓口における接客時間の平均がわずか15秒であり、その瞬間にお客さんが判断するサービスの質が、その航空会社全体に対する評価を決めていることに注目し、これを「真実の瞬間」とよびました。

近年、デジタル・マーケティングの世界で、新たな「真実の瞬間」が注目されています。Zero Moment of Truth (ZMOT)とよばれているものです。これは、お客さんは店頭に来る前にすでにインターネットなどで商品情報を得ていることが多いので、商品にオンラインで接触する瞬間、すなわち、Zeroのポイントに真実の瞬間が存在するということを表しています。インターネットの普及に伴って、検索エンジンをはじめオンライン上で商品情報を収集することが一般的になりました。また、商品を購入した消費者の感想がソーシャルメディアで共有されることも当たり前になってきています。このように消費者行動に大きな変化が現れ、ZMOTが商品に対する消費者の評価を左右しかねない今日、商品について企業が伝えたい情報ばかりでなく、消費者が知りたい情報を提供し、あるいは消費者の疑問に誠実に答えていくことが重要となっています。

二度と繰り返されることのない出会いであることを心得て、互いに誠意を尽くすことの大切さを説いた「一期一会」という言葉があります。「真実の瞬間」は、「一期一会」をマーケティングの視点から表現した言葉といえますね。

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